コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

ギュスターヴ・モロー展

ギュスターヴ・モロー―絵の具で描かれたデカダン文学 (六耀社アートビュウシリーズ)
相方の提案で、島根県立博物館の「ギュスターヴ・モロー展」へ行ってきた。以下、芸術的な知識はないので素人としての感想ってことでひとつよろしく。

展覧会はモロー一色。本当にモローの作品のみを集めたものだった。

で、実際に見たモローの印象は「本気で描けば凄い人」。有名どころではサロメの「出現」(画像)など、いくつかの有名作が来ていたが、それらの線や色の緻密さ、肌の表現の決め細やかさ、絵全体のバランスなどが、さすがとしか言いようがなかった。特にやはりサロメは突出していて、写真では潰れてしまう「輪郭線」などが間近に見れたのでちょっと嬉しかった。

サロメというとどうしてもビアズリーと比較してしまうのだが、ビアズリーが何を描いてもおどろおどろしいデカダンスのど真ん中とすれば、モローはサロメを描いてさえもどこまでも美しく幻想的。

ただ、なぜ「本気で描けば」になるかというと、展示してあった作品の習作や未完成っぽい作品が多かったから。もちろんいくつか有名な完成品も展示してあったが、それ以外は途中までしかないものや、抽象画のように雑に描かれたものだった。

しかし面白いのは、雑に描かれたものが、まさに抽象画のようにそれはそれである種の作品となって見えるということ。この時代だからまだ抽象絵画などというものは出てきていないと思うのだが(誤解があったら申し訳ない)、彼の色のデッサンのために粗く描かれた作品は、ある種の抽象絵画の原型であるかのように見えた。

とはいえ、完成品の数は少なかったので、もっと見たかったというのも本音だ。習作の脇に完成品の小さな写真が張ってあるのだが、それを見てしまうと余計に「本物」が見たくなってしまう。やはり完成品のきめ細やかさは突出している。


完成品として来ていたのは

  • 「出現」(画像
  • 「プロメテウス」
  • 「聖セバスティアヌス」
  • 「一角獣(画像)」
  • 「メッサリーナ画像
  • 「ジュピターとセメレ(画像)」
  • 「ケンタウロスに運ばれる死せる詩人(画像)」
  • 「ヘラクレスとレルネのヒュドラ
  • エウロパ

など。ネットで探しても画像が見つからないものが多いなぁ。同じ主題の別デザインの絵ならあるけど。マイナーどころが来てたのかなぁ。

関連サイト