コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

書きかえてはならない言葉


なにこれ?


   通知表の所見欄に書きたいけど書けない(性格を表す)言葉を書きかえる一覧表


ネタとしては面白い。しかし真剣に教育を考える場合、こういうことやっちゃっていいのか? 短所を責めたてて直すことが必ずしも良いとは言わない。短所に見えるところも長所になることもあろう。しかし、本来なら短所として指摘するべきことを、綺麗な言葉で誤魔化してしまっても本当に良いのだろうか。こんな書き方をしたら、見直すべき点、反省すべき点もすべて見えなくなってしまう。問題がある子も、その親も「このままでいいんだ」と勘違いしてしまう。こんな通知表では、子供は一歩も進歩できない。ゆとり教育とか、親や子に迎合した教育の悪例なのではなかろうか。

確かに、教師の立場は以前に比べてひどく弱まっている。親やPTAからの攻撃に晒されることも多く、「問題を避けたい」という気持ちになることもあろう。しかしこんな書きかえを当たり前のように行っているのだとしたら、それは教師の怠慢であり教育の放棄だ。それが本当に子供の長所であるのか、短所であるのか、それを見極めることも教師のひとつの職務だ。それを放棄し、すべてを陽としてはぐらかすなんて。

これは「言葉の書き換え」ではない。「意味の書きかえ」だ。ネタとしてはいいだろう。落ち込んでいるときに自分の短所を長所として見るための材料としてなら良いだろう。短所を短所と認識した上で使われるなら効果的な言い換えだろう。

しかし「通知表などの所見欄に、書きたいけど書けない言葉を書カき換カえる一覧イチランです」というのにはちょっと我慢できない。教師なら書きにくいことでもちゃんと書こうよ。