コトバノウタカタ

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パネキット

キーワードができているが、誰も言及していないので一番乗りで書いてみる。


パネキット

パネキット


一部で圧倒的な支持を集めている、キット組み立てゲーム。パネルやタイヤ、ジェットなどを組み合わせて「モノ」を作るゲームなのだが、ただ作るだけではない。作ったモノを動かす際に空気抵抗やら抵抗やら抗力やらを計算し、仮想物理シミュレータとしての世界を作り上げている。発想力によって無限に広がるモノ作りと、それを現実のような世界で動かす楽しさ。その斬新さとマニアックさが、ファンを強く引きつけている。

HALF-LIFE2(以後HL2)をやっているとたびたびパネキットのことが思い起こされる。どちらもゲーム内で物理シミュレーションを行っており、それがゲームに強く反映されているゆえだろう。しかし両者の物理演算に関する姿勢はかなり違う。パネキットではそれが根本であり、「物理演算ありき」のゲームであるのに対し、HL2の場合はアクションゲームの1エッセンス、あるいは開発の工数の削減のために物理エンジンを導入している。ゆえにHALF-LIFE2の物理演算はかなり簡略化されたもので、物理的挙動とうい点でいえばパネキットの方が断然リアルだ。

最も違うのは「空気抵抗」の有無だろう。HL2では速度の減衰においてのみ、空気抵抗を演算している。どんな薄っぺらい物体でも、かならずまっすぐ飛ぶのだ。しかしパネキットの場合は、パネルごとに空気抵抗を演算しているために、薄い板状のものは強い空気抵抗を受け、その角度や枚数によって進む方向が変わるし、うまくつくればモノが揚力を得て空を飛ぶこともできる。それらがより深いリアリティを作り、またより多くの可能性を産んでいる。

もちろんただよくできた世界がある、というだけではない。最初にも述べたように、このゲームの本題はパーツを組み合わせてモノを作ること。車、戦車、飛行機、ロケット、ヘリコプターなどなど、アイデア次第で様々な物を作ることができる。自由な世界と自由な組み合わせ、それらが自由なゲーム性を作り上げている。ユーザの発想の数だけ遊び方がある。

パネキットもしょせんは仮想であり、現実の物体の挙動とは異なる。しかしリアリティを感じさせるに充分なレベルでの物理表現を実現しており、そこに仮想でしかありえないテイストを加え、ゲームとして完成させている。その手法、アイデア、そして技術は見事であると言えよう。

多くの人がPS2で続編が出ることを期待している。現在のマシンのスペックがあれば、以前よりももう一段上のリアリティと楽しみを実現できると思うのだが、残念ながらそういう予定は聞こえてこない。是非実現させて欲しいものである。ネット対戦機能なんかもあればなお良い。出せば絶対売れるから。*1

関連サイト

*1:注)パネキットはPS用のゲームです。うちのPS2ではなぜか起動できませんでした。全てのPS2でプレイ不可なのかどうかはわかりませんが、PS2本体しか持っていない方は注意。