コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

それぞれの保育器

id:asagi29氏の「カイエ」を読んで。まだ言葉もしゃべれないので「死」について理解するには早いが、「保育器から外の世界に出る」という話については考えさせられるところがあった。うちの場合はどうだろう。

過保護、というほどに過保護ではないだろう。むしろそれなりに奔放に、あるいはそこそこに、育てているつもりだ。危険なものや触られて困るものについては叱ったり遠ざけたりはしているが、例えば箸や小銭などは案外にたやすく扱わせている。食べ物についても、なるべく野菜を中心に味の薄いものを心がけてはいるようだが、ポテチやラーメンを見て欲しがったときにはちょっとずつだが与えている。

一方でこれだけは気をつかっている、というものがある。それはピロリ菌と虫歯菌。大人が口にしたものを与えたり、同じ箸を使ったり、キスをしたりすると、大人が持っている菌が子供に移ってしまうと聞く。特にピロリ菌などは子供の頃に体内に入ると定着してしまうという話だ。そのため、大人の使った箸で子供に食べ物を与えない、大人が箸をつけた食べ物はなるべく与えない、キスはしない、子供が遊びで大人の口に手などを入れたらきちんと拭く、などをわりと徹底して行っている。周りからみると「気を遣いすぎ」と思われているようだ。しかしお腹の弱い私からしてみれば、子供に同様の苦労をさせたくない。虫歯だって避けられるものなら避けるに越したことはない。転んで怪我したくらいなら、少々傷口が残ったとしてもたいてい治るが、胃に菌が巣食ったり、虫歯で永久歯がダメになったりしたらもう一生治らないのだから。

また一方で、うちの母親などは私が気にしないようなことをいちいち気にする。例えば子供と遊んでいるときに、私の肩に子を担ぎ上げて、首の周りをぐるぐるとまわらせる遊びなどをしていると、「危ない」などといって嫌な顔をする。服を着替えさせるときに急いで着替えさせようとして子が転んだりすると「乱暴だ」などと言ってくる。確かに少々乱暴であったことは否めないが、転んでも怪我したり泣いたりしているわけではないし、遊んでいるときは子供はすごく喜んでいるので、そんなに目くじらを立てて気にするほどでもないと私は思っている。しかしそういうところには文句を言ってくる母親だが、口に入るものには無頓着で、大人が使っていた箸を平気で使ったり、大人が食べても辛い麻婆豆腐などを食べさせようとしたりする。家族といっても、私とは根本的に気にしている点が違うようだ。

つまりは子育てに対する姿勢は人それぞれということ。気にする点、重要視する点が人によってはまるで違ってくる。嫁、姑が子育てで対立するというのもよくわかる。例えば泥遊びを徹底的に禁止する人もいれば、テレビなどを避けたがる人もいる。食べ物に気をつかう人、睡眠時間に気をつかう人、怪我や傷などに敏感な人、教育を重視する人、自由奔放を徹底する人、ほんとうに人それぞれだと思う。その全てを完璧にこなせればいいのかもしれないが、一方でそこまでガチガチに自分と子供を縛りつけるのもシンドイだろうなぁと思う。自然にそれらができていればいいが、親がルールに縛り付けられて子育てにストレスを感じていると、それはそれでまた子供に悪影響を与えてしまうだろうし。

要は程度と取捨選択なのだろう。また「子供に良いこと」とは言っても、前述のasagi氏の言うように、行き過ぎた保護もまた子を弱らせる原因になるだろう。花粉症などのアレルギーに対抗するには、幼い頃から「適度に不衛生な環境」に晒されて耐性を得ることも必要だという。子育ての常識というのも日々刻々と変わっている。知識を蓄え、的確に、かつ臨機応変に。そういうふうにできれば一番いいのだろうが、なかなか・・・。