コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

ヒーローゲームの悪影響

id:kapibara氏のところより*1

悪者が暴れまわるテレビゲームより、かっこいいヒーローが敵を倒すゲームの方が、むしろ子どもの攻撃性を高める可能性があることが、お茶の水女子大の坂元章教授らのグループ研究で明らかになった。

以前にここで似たような話を書いた*2。私の場合はテレビの戦隊モノについて書いたわけだが、本質は同じだろう。残酷なシーンやたくさんの敵を倒すものよりも、正義の名の元に暴力を行使するものの方が子供に対する影響力が強い、ということらしい。

しかし何度も言うが、こういう類の調査で「ゲーム」についてのみ調べるというのは恣意的である。もちろん「今回はゲームについて調べた」ということなのだろうが、ヒーローモノのゲームが好きな子供は、戦隊モノの番組などを好む可能性が高い。1年後に攻撃性が上がっているということで、ゲームとの間に因果関係があると言い切ってしまうのはあまりにも強引ではなかろうか。

ゲーム好きなのでどうしてもゲームを擁護してしまう発言になってしまうが、しかし大学で調査するにしては仮定や結論付けが少々杜撰すぎるのではないかと思う。子供に対する影響力としてはゲームのみならず、テレビも強い影響力を持っている。それに関する比較調査を行わなければ手落ちであるといわざるを得ない。いや、テレビも好きなのでテレビが悪者になるのも困るのだが、しかしこういう研究やマスコミの報道にはかなりゲームに不利なバイアスがかかっているので見るに耐えない。


違う観点で興味深い事実。

これに対して、攻撃回数が多い、たくさんの人を攻撃するなど、暴力描写の程度が高いゲームで遊んでいる児童の場合は、研究チームの予想とは反対に、むしろ攻撃性が低下していた。

この低下した、というのが、一般的な子供よりも低下したのか、あるいはヒーローものを好きな子よりも低下していたのかちょっとわからないが、どちらにしてもいままで言われてきたこととは反対の事実を示している。多数の敵を倒すというのが非現実的すぎて、現実の暴力には結びつかないということだろうか。しかし一般的な子供よりも攻撃性が低下したのであれば、そういうゲームにはある種のカタルシスがあり、ゲーム内で暴力衝動を発散してしまうために現実での攻撃性が低下した、ということになるのかもしれない。これはちょっとご都合主義過ぎるだろうか。


しかしどちらにしても暴力的なものが子供に影響を及ぼすであろうことは否定しない。悪影響の強い刺激を避けるのも当然必要だが、それ以上に、子にどうやって判断力を与え、導くかということが重要になってくると思われる。まだ分別どころか会話さえできない我が子だが、情報の選択能力だけはしっかりと教えてあげられたら、と思う。

*1:id:kapibara:20050108

*2:id:tetsu23:20040822:p1