コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

雪の名前

雪や雨を呼ぶ言葉にはいろいろあるが、名前やその響きに趣深いものが多いような気がする。昔の人は気象や季節に関心を寄せ歌などを読んでいたために、自然に雨や雪を現す言葉も巧みな名がつけられていったのかもしれない。ということで今回は雪の名前。

細雪(ささめゆき)*」も雪を表す言葉のひとつ。粉雪のことだが、「細雪」と呼ぶと風情が増すような気がする。しかし「細」という字を「ささめ」と読ませることはあまりない。「ささめく*」という言葉があるが、これは「小声でひそひそ話す」という意味なので少し異なる。語源を探してみたが適当なものが見つからなかったので勝手に想像してみる。「小」とかいて「さ」と読む。「小小め」あるいは「小小目」で「ささめ」かな、などと。

他に雪の呼称で「牡丹雪(ぼたんゆき)*」などもある。これは大粒の雪が牡丹の花のようなのでこの名がついた、と解説されているが、実際には「ぼたぼたした雪」だから牡丹雪なんじゃないかな。なんて考えると風情がなくなるな。

「吹雪(ふぶき)*」。よく使う言葉だが、字面も音の響きも良い。実際に巻き込まれると本当に泣きそうになるけど。

「名残雪(なごりゆき)」。歌が有名過ぎてここにあげるのは少しはばかられてしまうのだが、とりあえず。辞書に項目がなかったのだが、春先になって暖かくなった頃にふと降る雪、という解釈でよかっただろうか。これも字面も響も、そして言葉のイメージもよい単語。


そろそろ鳥取にも雪が降る季節となってきた。いつもならもう一度くらいは降っていてもよい時期なのだが、暖冬ということで初雪が遅れている。そもそも私が子供の頃などは、冬になると春になるまで地面が見えないくらいにずっと雪が積もっていたように思う。最近ではたまにどかっと降るが、たいていが一週間くらいで消えてしまう。温暖化のせいなのだろうか。車で移動することが多いので積もられても困るのだが、雪がないならないで、それもまたなにとはなく寂しいような気もする。