コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

自然は優しくない

さて、昨日の日記をちらと読み返してみると、ヨースケのことで何を熱くなって長々と書いているのだろうと少々自己嫌悪。私も少し良い磁場でも浴びて来た方がよさそうだ。

しかし自然のものから出る磁場だから身体に良いというのはあまりに単純な考え方だ。だいたい昨今「自然のモノだから身体によい」などというキャッチフレーズをよく目にするが、とんでもない誤解だ。自然ほど恐ろしいものはない。

フグ毒であるテトロドトキシンは青酸カリの数百倍の毒性を示すというし、タバコにふくまれるニコチンは、犬や猫の舌の上に乗せただけで即死させられるという。トリカブト、ハチ、ヘビ、クラゲ、キノコなどなど、人を殺せるような毒は自然界に満ち溢れている。最強の動物毒と言われるヒョウモンダコに噛まれたら助かる可能性は低いらしい。有効な治療法さえ確立されていないとのことだ。そこまで劇的ではなくとも、食品の中には発ガン性物質を含むものもある。フキやゼンマイなどを食べ過ぎるのは良くないらしい。

動植物だけではない。湧き出した温泉水から砒素が検出されたこともある。微生物やウイルス、寄生虫などは言うまでもなく様々な脅威を人間にもたらしてきた。これらはすべて自然の産物だ。


たしかに化学的な物質、特に食品に関していえば、保存料や人工着色料、香料などが身体に良くないことはわかっている。それらが肝臓などに負担をかけ、人間を緩慢に殺していることは承知している。しかし一方で、行き過ぎた自然信仰もいかがなものかと思う。自然とはもっと冷淡で残酷なものだ。腐った食物でさえ人を殺す。人はその自然の脅威を回避するために人工物を作り出してきたのではないか。「自然のものだから大丈夫」などという盲信もまた、人を死に近づけていくのではないだろうか。


追記:
テトロドトキシンについて調べてみたら、その毒性について青酸カリの10倍というものから数百倍、中には1000倍というものまで様々なものがあった。どれが本当だかわからないが、即死性の青酸カリよりも摂取して数時間で死に至るテトロドトキシンの方が毒性が強いというのは少々不思議だ。テトロドトキシンの方が致死量が少ない、ということだろうか。

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