コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

「新選組!」第37回、第38回


うーん、なんか山南さんの回のできが良すぎて、それ以降はどうもまったりもっさりな感がぬぐえない。特にこの2回は隊士の見せ場もあまりなかった。全体的に「話を進めるために話を進めている」ような。あえて言えば松原忠司の死の前後にちょこっと斉藤一や土方の見せ場があったが、そこだけ。それ以外は、新選組よりも坂本竜馬の方がメインになっているような気さえする。

しかし前々から思っていたことだが、土方はよく「士道にそむいたら切腹」と言っているが、仲間を陥れたり、暗殺したり、そういうのは士道にそむいたことにはならないのだろうか。永倉あたりが突っ込んでもよさそうだと思うのだが、そのあたりはおざなりになってしまっている。

ただ、今回の土方の「士道にそむいているんじゃないのか」という言葉は、今回の松原の悲劇を予見して、「あまり深く入れ込むな」という忠告の意味で言ったのではないかと思うところもある。さすがにそれはちょっと買いかぶりすぎだろうか。


今回亡くなった松原忠司についての考察は、役を演じていた甲本雅裕氏の言葉がよく的を得ていると思う。

ある意味では、すごく心がきれいなんだけど、裏を返すと浅はかで人の気持を傷つけている。やっぱり、いつの時代でも、心のきれいな人間が立派かといったら、そうではないこともあるという象徴じゃないかと思います。「お前のそこがいいよね」という長所が「場所や状況が変わるとそこが欠点なんだよ」となってしまう。人間の長所は欠点に、欠点は長所にもなり得るということでしょうね。

ただ、死ぬ瞬間の彼の気持ちはちょっと違う気がする。甲本氏は「彼は死ぬ瞬間に、自身の浅はかさを悟ったというか、『あ、もう少し考えて行動するべきだった』と気づいたんじゃないでしょうか」と言っているが、松原はあの瞬間、後悔はしてなかったんじゃないかなぁ、と。この人に殺されるのなら仕方がない、という死を受け入れる気持ちだったのではないかなぁ、と。


あと雑感。滝本捨助役の中村獅童はすごいな。以前「HR」で不良役をやっていた人と同一人物とは思えないほどのへたれっぷり。それが素なんじゃないかと思うほどはまっている。これが普段はファッションリーダーと呼ばれるほどのいい男っぷりなんだからなぁ。役者ってすごいわ。

もう出てこないけど、八木家のひで(吹石一恵)は、男装してるときの方がよかった。化粧が下手なのか知らないけど、女性に戻ってからはちょっと顔が変に見えた。


次回、「ある隊士の切腹」。誰が腹を切るんだろ。