コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

踊る子

音楽に対する感覚というのは、人間は生まれながらにもっているものなのだろうか。うちの子は1歳になったばかりで、まだ言葉もしゃべらないのだが、音楽がなるとちゃんと反応して、体を左右に振って踊りだす。聞いたことある曲はもちろん、はじめて聞く曲でも、それが音楽であればたいてい踊りだす。ちゃんとした音楽だけではなく、親の鼻歌などにも反応する。リズムの早い曲であれば、それが縦乗りになる。あたまを前後に振ってヘッドバンキング状態。そんなことを教えた覚えはない。そもそも私はそんな風には踊らない。あの動きは本能に組み込まれているとしか思えない。

しかも、子はちゃんと曲を聞き分けている。「大きなくりの木の下で」を聞くと、他の曲とは違い、両手を上に上げて例の踊りの真似をしようとするのだが、CDで聞いても、親のへたくそな歌で聞いても、またおもちゃから鳴る歌詞のない電子音を聞いても、同じ「大きなくりの木の下で」の曲であれば、ちゃんとそのポーズをするのだ。言葉ではなくメロディでそれを認識していることは確かだ。

つまり、音楽の解釈は会話とはまた違うしくみということではないだろうか。言葉がなくともメロディだけで人は音楽を音楽と理解する。また言葉と違い、必ずしもメッセージ性や意志伝達があるわけではない。言葉とは違うニュアンスをメロディから受け取ることもある。

しかし、音楽を解するのは人間だけである。否、他の動物も解してはいるのかもしれないたまに踊る猫とかもいる。しかしそれは特殊な例だし、音楽に反応しているかどうかもちょっと怪しい。ともかく種として一般的に音楽を解し、それを楽しみ、体を動かすのは人間だけだろう。

ではいったい音楽とは人にとって何なのだろうか。生きていくための何かとも思えない。ただ楽しむためだけのもの? 果たしてそんなものが本能に組み込まれているのだろうか。