コトバノウタカタ

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アラスカの捕鯨

アラスカでの捕鯨に関して、こんな記事を見つけたので記録がてら。

 もし貴方が豊かであれば、民族はその食生活を転換出来ると安易に考えているのならば、私は北米大陸の北端にあるアラスカ州のバーロウの町を訪れることをお勧めしたい。 バーロウでは、世界でも最も枯渇の水準が心配されている鯨種である北極セミ鯨(英語で Bowheadと呼ぶ)を住民が捕獲することを IWCが許可しており、それは、これらの住民が豊かでないからではない。 いや、むしろ豊かであるからこそ、捕鯨が催事として許可されているのである。町の公共施設は完備し、住民の多くはセントラルヒーティングのある広い住宅に住む。町のスーパーマーケットには、牛肉から日本の白菜まで、あらゆる食品が揃っている。 ビデオショップには、最新のハリウッド映画のビデオが揃っており、明け方まで、暴走族めいたスノーモービルやバギーカーの騒音でゆっくりと眠る時間もない。 若者達は、私の訪問した9月の末の長い日照時間をフルにエンジョイしていた。 

 バーロウで捕鯨のキャプテンの地位を保持するのは、単に人望があるだけではなく、資産が必要であると私は何度も聞かされた。 なぜならば、ここの捕鯨は原住民/生存捕鯨としてIWCが認定しており、その為には、金銀による鯨肉の取り引きが出来ないからである。 

 捕鯨を続ける為には、近代化されたモーターボート(秋に氷が接岸していない時期に行う捕鯨には、非伝統的なモーターボートが必需品である)をはじめとし、ガソリン代、気象状況モニターの為に欠かす事の出来ないコンピュターや、高性能の無線機、モリ撃ちの銃、一隻に五人は要するクルーの日当、(時には、一ケ月もの日数がかかる)など莫大な経費が必要であるからである。 町は石油や天然ガスなどの資源開発に伴って、財政が豊かであり、財テクの専門家も郡役所に配置されている。 この豊かさをもって、住民は、米国本土から野性生物研究の科学者を雇用し、ワシントンには弁護士を置き、連邦政府内務省に人権問題であると訴え、その結果枯渇した北極セミ鯨の捕獲をIWCに認めさせたのである。 IWCの科学小委員会は、今でも、この北極セミ鯨の系統群が十分な資源状態にあるという意見はもってはいない。 バーロウの町の統計には、鯨肉は住民の蛋白源のわずか8%程度であり、主食としての役割を果たしてはいないことが判る。 

三崎滋子「ƒQ[ƒ€‚Ì–¼‚͕ߌ~–â‘è」、1994年、より

この記事、まだ全部は読んでないんだけど、他にもいろいろ面白いこと書いてあるぽい。

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