コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

戦隊モノとイジメ

昨日の「子供に見せる」に関連して。

子供番組として、戦隊モノを筆頭とする正義の味方モノが人気があるが、あれってどうだろうかと思う。相手が悪だとしても、それを殴ったり蹴ったりして倒し、一件落着というのは、一般社会では許されない解決方法ではないだろうか。善悪を教えるというよりも、暴力による解決を教えているとしか思えない。「アンパンチ」だって立派な暴力だ。

特に戦隊モノに関しては、5人で1人の怪人を袋叩きにするわけである。これは完全にイジメの構図ではないだろうか。「正義」の名の元にひとりの相手を囲んでぼこぼこにする。これってやばくないのだろうか。

テレビは子供に問題が発生すると、やれゲームが悪いだの、マンガが悪いだの、ネットが悪いだの、とかく他のメディアを叩こうとする。確かに暴力的なゲームやマンガはある。しかし同様に、暴力的なテレビ番組や小説だってたくさん存在する。しかもゲームやマンガの場合は、登場人物がデフォルメされており、また世界も現実とは大きくかけ離れていることが多いため、現実とのつながりは希薄だ。反面、テレビ番組の場合は現実と地続き、あるいは現実そのものだ。テレビは見た目が直感的かつ現実的なために、影響力は絶大だと思う。

それに、現実には善悪の観念というのもそもそもがあいまいで、物語の中のように完全に判別できるものでもない。しかし子供達がイジメなどを行っているときは、心のどこかに「自分は善」と思っているのではないだろうか。イジメをしてる子たちも、「気持ち悪いやつを成敗する」などと考えてやっているかもしれない。あるいはそれさえも考えず、単に行為として暴力を模倣し、楽しんでいるかもしれないが。

小さな子供に限らず、ある程度大きくなった子供や大人たちにも悪影響はあるだろう。サスペンスものなどは「現実での人の殺し方」を教えていると言っても過言ではない。また実際の犯罪をニュースで駄々漏れに報道することによって模倣犯人を生み、「大きな事件を起こせば報道される」ということで愉快犯を生む。練炭自殺などはテレビニュースで報道してから一気に増加した。報道による犯罪の抑制効果もあるだろうが、面白さばかりを追求して考えなしに犯罪を報道している現状は非常に危険な気がする。

すべての暴力的なものを完全に排除せよ、とは言わない。教えるべきはその分別のつけ方だ。しかし戦隊モノ、勧善懲悪モノに関してももう少しちゃんと批判しなければいけないのではないかと思う。テレビや新聞がゲームやマンガを批判するたびに「お前達はもっと酷いことをやっているじゃないか」と憤りを感じてしまう。