コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

捕鯨禁止への憤り

数年前から捕鯨問題が気になっていてる。一番最初は「鯨の数が減ってきたんだから捕鯨禁止も仕方ないなぁ」なんて漠然と思っていたが、捕鯨しても大丈夫なくらい鯨資源は回復してきているというのを聞いて「だったら獲らせろよ」と思うようになり、捕鯨禁止を定めたIWCの会議を見たことによって「捕鯨禁止になってるのは西欧の横暴じゃねーか!」と憤るようになった。

そもそも今のIWCは激しく異常だ。数多くの捕鯨に関係ない国の参加。海さえない国もいる。IWCに、海のないスイスや捕鯨なんて全く関係のない小国モナコが入ってるのはあまりに異常だ。そして科学的根拠を無視した捕鯨禁止の決議。本来中立であるべき議長は明らかに「反捕鯨派」で、恣意的に会議を歪ませている。けっきょく反捕鯨の提案が「議長の横暴」と「数の暴力」によってまかり通ってしまう。日本をはじめとする「捕鯨再開派」の科学的根拠に基づく発言や、それを擁護する冷静かつ客観的意見はすべて反捕鯨国の感情論に押し流されてしまい、会議の体をなしていない。まさに衆愚政治の典型が繰り広げられている。

そもそもIWCは「国際捕鯨委員会」である。「国際鯨愛護委員会」でも「国際鯨保護委員会」でもない。鯨を商業利用したい国が集まって、絶滅を避けながら鯨資源をいかに有効に利用するかを話し合うための会議である。断じて鯨を守ることを議論する場ではない。にもかかわらず、毎年毎年、科学的根拠のない危機感を煽ったり、「鯨は頭がいい動物だから殺すなんて野蛮だ」なんて感情論が飛び交い、けっきょく捕鯨禁止が延長され続けている。

ちなみに、鯨資源が捕鯨に耐えうるほど回復しているということに関しては、IWCの調査委員会がお墨付きを出している。しかし会議はそれを無視して捕鯨禁止続行を採択。結果、当時の調査委員会の責任者は抗議の意味で辞任している。以下、具体的な引用。

1991年と92年に、IWCの科学委員会が科学的に調査した結果、“ミンク鯨は決められた制限量を捕獲しても鯨資源を減らすことがない。”と太鼓判を押し、その捕獲可能量をIWCから承認を受けようとしました。が、なぜか多数決で却下されてしまいました。科学的な根拠があるにも関わらず、自分の所属する組織からその自分の専門分野である研究を否決されたのです。一度ならずも二度も。それに怒った当時の科学委員会最高責任者のフィリップ・ハモンドさん、意を決して抗議の辞任をしています。名誉だってプライドだってありますから。

しかし一方で、アラスカや一部地域では捕鯨が許可されている。しかも「絶滅危惧種」を平気で獲っているのだ。彼らの言い分では「商業捕鯨じゃないから」「伝統文化だから」オーケー、ということらしい。しかし商業捕鯨だから禁止するという理由はわからない。商業捕鯨再開のためのIWCではないのか。また、一方で頭がいいから獲るな、と言っておいてもう一方で「伝統文化だから許すべき」というのもまたわけのわからない論理だ。それに伝統文化というのなら、日本にとっても捕鯨は伝統文化であったはずだ。近代以降、捕鯨が大規模化していったということはあるものの、鯨食は日本において一般的なことだったし、港によってはそれこそが重要な収入源だったはずだ。それを禁止しておいて、「伝統文化は尊重すべき」なんて笑止千万。脳みそが偏っているとしか思えない。捕鯨を禁止することで彼らの生活能力を奪うことになる、なんて言う者もいるが、日本でも捕鯨を奪われて食うに食えなくなった人がたくさんいるぞ?

だいたい、感情的に反捕鯨を言っているアメリカ人は多いが、自国民が捕鯨してるということをどれだけのアメリカ人が知っているのだろうか。そもそも、アラスカと言えど、腐ってもアメリカである。捕鯨なんてしなくても食っていけるだろうに。特にアラスカは石油が沸くので、わりといい生活ができていると聞く。それでも捕鯨を許可する必要があるのだろうか? しかも、何度も繰り返すが、絶滅危惧種を、だ。

オーストラリアでもそうだ。鯨ではないが、かの国では毎年数百匹単位のカンガルーを「間引き」のために虐殺している。そういうことは一切伏せておいて、鯨をばかり「かわいそう」って言ってるこの滑稽さ。

それに頭がいいから食うなというのは非常にナンセンスだ。それって逆に言えば「頭の悪い奴にはなにやってもいい」って言ってるのと同じ。鯨は家族を持つ、というが、牛だって子育てするし、鴨だって集団で生活する。そういうのは平気で殺しておいて鯨だけ特別、というのもまたむかつく。西欧人は、自分たちが食わないから感情移入してるに過ぎない。だいたい、江戸時代にアメリカが日本に来たのだって、捕鯨のための補給基地を作りたかったからだろう。で、獲った鯨は脂だけ絞ってポイ。で、脂が他で入手できるようになったから「捕鯨禁止」。って都合よすぎるだろ。

アメリカやオーストラリアが強行に反捕鯨を推し進めるのには、当然裏の考えがある。それらの国は牛肉の輸出国であり、特に日本などに多く輸出している。その日本に、鯨というタンパク源を自給自足されては、牛肉の輸出へ影響が出てしまう。だから、欧米や、捕鯨に関係ない国を多く抱き込んで「反捕鯨」の数を増やしIWCを滅茶苦茶にしているのだ。最近では日本も対抗して日本に賛成してくれる国を加盟させているようだが、いかんせんそういう駆け引きには弱く、なかなか功を奏していない。某環境保護団体などはその日本の行動を非難しているが、日本より先に捕鯨に関係のない国を引き入れた欧米に対してまったく文句を言っていない。やつらのダブルスタンダードの極みにはヘドが出る。

とかくダメな面が目立つ政府、官僚、省庁だが、この捕鯨の件に関してはわりとがんばっている。議会でしっかりと正論を述べ、反捕鯨の意見に潰されることなくしっかりと主張をしている。しかしそんな冷静さも怒涛の感情論に押しつぶされてしまっていて可哀想、というか見るに耐えない。いじめっ子を正当に非難してるのに、先生がいじめっ子の方を贔屓してて話にならない、というような感じ。

そんなわけで、見ているとあまりにイライラするので、去年と今年はIWCを見ないことにしていた。それでもどこから情報は入ってきてしまうもので、けっきょく今年も反捕鯨に怒り爆発、となってしまった。

個人的にはそれほど鯨を食いたいわけではない。しかし、欧米の利権のために獲れるものを獲れないというのには激しく腹が立つ。また日本の自給自足率を上げるというのは、昨今の重要な課題である。捕鯨でそれがどれだけ改善できるかわからないが、ひとつの糸口になる可能性を秘めていると思う。逆にここで押し負けてしまったら、次はマグロなどの魚介類にまで制限を加えてくるのではないかという危機も囁かされている。欧米にとっては海産物なんてさして重要なものではないが、アジア諸国にとっては死活問題だから、そこを攻めてくるという可能性はじゅうぶんにありうる。

もうIWCは全然まともに機能してないし、本来の目的さえも忘れて欧米の利権保護のための会議になってしまっている。脱退してきちんと捕鯨を議論できる新しい会議を立ち上げてしまった方がいいのではないかとさえ思う。実際には国際関係のしがらみがあって難しいのはわかるけどさ、もうそうするしかないよ。IWCは「国際鯨愛護委員会」になってもらって、ICWC「国際商業捕鯨委員会」でも作ろうよ。

ちょっと興奮して書き込んでるので文章が支離滅裂かもしれないが、この憤りをともかく書いておきたかった。

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