コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

ファイナルファンタジー

FINAL FANTASY ― ファイナルファンタジー ― (スタンダード・エディション) [DVD]
BS2でやっていた映画版「ファイナルファンタジー」(以降FF)を見た。いろいろとネガティブな前評判を聞いていたので過度な期待はしていなかったのだが、そんなに悪くはなかった。そんなに良くもなかったけど。

一言で言ってしまえば「普通のハリウッド映画」だった。ほんとうにありきたり、普通のハリウッド映画。見ていても何も感じない、見た後に何も残らない、完全受容型の話。でも見る前はもっと酷いものを想像していたので、酷いとは思わなかった。

しかし、他の人もよく言っていることだが、これがFFである理由が見当たらない。何一つ、FFらしさがない。単に製作者がFFを作った人、というだけであって、ほんとうに、微塵もFFらしさがない。世界は現実と地続きの未来のようだし、舞台は地球、武器は銃のみで、剣とか魔法はかけらも出てこない。敵もワンパターンのファントムのみで、大きさや形の差はあるものの、実質的に1種類。要は「エイリアン」と同じ。かろうじてFFと関連しているのか「科学者シド」の名前のみ。本当にそれだけ。

FFの名が冠されているのは、姑息な宣伝効果を狙った策略でしかないようだ。FFの信者ではないが、それでもいくつかはプレイしてクリアし、それなりに思い入れがある。なので、この姑息な手段に関してはまったく不愉快極まりない。

愚痴ってばかりいても仕方がないので内容について。ストーリーについては前出の通り。可もなく不可もないハリウッド的なエイリアンパニック映画。ピンチあり、ラブあり、味方の裏切りあり、死んでいく仲間たち、そしてクライマックス。まあそんなところ。

次に、この映画のもっとも斬新だった部分は、やはり全編CGで作成された、というところだろう。実写でもアニメでもない、背景も人も全てCGによって描かれた映画だ。とはいえ、実際には人の動きなどはモーションキャプチャーで人が演じているという不思議な工程を経ているのだが、それでも挑戦的な映画であるという意味で価値はあると思う。

CGの質に関しては、ゲームなどで見慣れているのでいまさら違和感は感じないが、ずば抜けて素晴らしいでき、というほどでもない。リアルに比べるとやはり作り物ぽい。特にアップになると、質は良くても現実ではないということがはっきりと思い知らされる。あと動きも、モーションキャプチャーでやっているといってもやはりどこかぎこちない。

当時としては最先端の技術の粋を集めて作られたのだろうが、あれから数年たち、この程度のCGなら普通のゲームのデモでもそこそこ見られるようになってきた。逆に映画の中にもCGが多く取り込まれるようになり、巨大な船が墜落するシーンや未来都市などももうもの珍しくはない。

せっかくのCGなのだから、もっとはっちゃけてもよかったのではないだろうか、と思う。都市が吹っ飛ぶとか船が落ちるとか、普通の映画でも人以外のところではCG使いまくりなんだから、アドバンテージとしては人の部分しかない。ゆえに、突拍子もない動きやアクションで戦うとか、そういうのが欲しかったような気がする。まあそれも「マトリクス」でやり尽くされてしまったわけだが。ともかくもっと、CGならではの何か、が欲しかったような気がする。

もしくはもっとFFっぽく、剣と魔法で戦う、っての方が面白かったのではないかと思う。「ハリーポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」も流行ってることだし、もっとFF的な準ファンタジー系で作ればもっと評価が高かったと思う。黒魔道師とかチョコボを出せばFFファンも喜ぶだろうし、忍者や侍なんかを出せば海外でも受けただろうし。なんてこれもちょっと阿漕過ぎるかな。

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