コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

サイレントヒル4

SILENT HILL4 THE ROOM
クリアしたのは半月くらい前になるんだけど、いまだにいろいろと思うところあるのでひとつ。

サイレントヒルシリーズは私の大のお気に入りのゲームのひとつ。たまたま1をプレイして、その異常かつ蟲惑的な恐怖世界にひかれ没入。2と3は発売日にコナミスタイルから直々に購入してしまうほどだった。そして、世間ではさまざまな評価があるもの、私としては1〜3まで、それぞれに怖楽しんで、じゅうぶん満足できた。

そして4、である。以下ネタバレもあるので未プレイ者は注意。

「自宅アパートから出られなくなったヘンリー。玄関の扉には鎖がかかり、窓も開かず電話も通じない。閉じ込められてから3日、バスルームに奇妙な穴ができていた」

なんともそそる導入ではないか。映画「キューブ」のような閉塞感。入りたくはないが入らざるを得ない『穴』。そこに飛び込んだらきっと目くるめく恐怖が待ち受けているのだろう。入らなければよかった、閉じ込められているとはいえ、自室でじっとしていればよかったと思うほどの狂った世界がそこにあるのだろう。そう思っていた。

しかし実際にそこにあったのは、3に劣るグラフィックと、練り込まれていない人物たち、そして異界化しない淡白な世界と、煩わしいだけの不死の敵、だった。愚痴を言いたいことは多々ある。システム的にも大幅変更され、それが功を奏しているとは言い難い。持ち数の限定されたアイテム類、中途半端にアクション性を高めた戦闘、サイレントヒルの必需品である懐中電灯もラジオもなくなった。セーブするため、アイテムをボックスにしまうためには幾たびかのローディングを経て部屋に戻らねばならず、またわりと頻繁に部屋に戻れるために緊張感も薄れる。

シナリオ、設定についてもしかり。1から3までは、主人公、登場人物にそれなりに深いバックストーリーがあった。特に2などは、台詞こそ少ないものの、主人公が心に抱えた罪と、忘れていた事実、そして幾多の結末、というより深き展開を見せてくれた。しかし4はどうだろうか。主人公のヘンリー、ヒロインのアイリーンともにけっきょく最後まで素性も知れず、会話もほとんどない。他の登場人物にしても同様だ。ストーリー展開としても、ただなすがままに現れてくるマップを進んでいくだけ。もちろんそれもパニックホラーの一つのやり方ではあるのだが、あまりにも主体性なく進んでいくため、本当に「障害物競走」に成り下がっている。

さらには、先にも述べたようにグラフィックの低下。3の目を見張るような陰影の効果がない。これは、3と4は同時進行で作成され、3のノウハウが4には導入できなかったから、ということだが、あまりにも残念だ。人物のモデルもなんだかぼやけていて、導入で電話をプッシュするときに、平手のままでブチブチとボタンを押す様には萎えた。

加えて、異界が存在しないくせに、まったく同じマップを二度回らされたり、ボス戦が実質2回しかなかったり、クリア後のサービスが少なかったりと、全体的にかなり物足りない。1から3までは各所に印象的なシーンや背景などがあったのだが、4ではほとんどそういうのがない。もちろん、回を重ねてきて、プレイヤー側も少々のことでは心を動かさなくなってしまったというのは否めないが、それを差し引いても何かが足りない。

そしてこれが致命的だとは思うが、あまり怖くないのだ。導入ではすごくびびっていた私も、ゲームが進むにつれ、敵やゴーストがただの障害物となり、ドアを開けるときもさして強い恐怖を感じなくなっていった。今回は闇や懐中電灯がなくなり、全体的に明るい、というのもあるだろう。ラジオがなく、音による恐怖が減ったというのもあるだろう。そして2度回るくせに何も変わらないマップ、が恐怖を殺いでいるのは確かだろう。恐怖と印象と雰囲気のゲームだっただけに残念だ。

ゲームや映画は、2作目、3作目となるにつれてつまらなくなると言われる中、サイレントヒルはがんばって良く進化してきたゲームだと思っていた。それがこの4作目で絶たれてしまったような気がする。おそらくサイレントヒルの名を冠していなければ、新たなタイプのホラーゲームとしてそこそこの評価を得られただろう。しかしサイレントヒルとして見ると、やはり及第点は出せないと思う。

もう出てしまったものは仕方がない。5作目も作るのであれば、是非、そのあたりを考慮して、いままで以上に怖面白いゲームにしてほしい。私の大好きなゲームだから。

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